とあるお店のポイントが期限切れを迎えそうで、何か買わなきゃと思っていたところ、メモステDuoの高速版が安かったので買ってみました。
「
“メモリースティックPRO-HG デュオ” HX」8GB。一度聞いただけではまず覚えられない、どこぞの銀行もビックリのプレミア感溢れるお名前です。ダブルクォートの位置がまた微妙ですが、これが正式。
そんな名前には一応理由があるようで、「メモリースティックPRO-HG」という規格のうち、その廉価版にあたるHXシリーズ、という意味のようです。(参考:
インプレスの記事)
「廉価版」とは言うものの、廉価でない本流シリーズは4GBを最後にリリースが途絶えており、ラインナップが4/8/16GBとなっている「HX」がシリーズが実質的には「PRO-HG」規格に対応した(ソニーでは)唯一の製品となっています。(ソニーでは、と括弧書きしたのは、他にサンディスクからもPRO-HG対応メモステが発売されているからです。詳しくは後述)
リード20MB/s、ライト15MB/sとあるけど、PSPでは…?
どれくらい高速かというと、パッケージには「
読み出し20MB/s」と誇らしげなプリント。
注意書きを読むと、「付属のUSBアダプターを用いた場合、リード20MB/ライト15MB」とのことで、ライバルのSDHCはいちばん速い「Class 6」でも6MB/sですから圧勝です。……というのはタチの悪い冗談で、SDHCのクラスが保証しているのは「最低速度」。ミニマムとマックス(平均値?)を比べても意味はありません。
ただ、
インプレスのレビュー記事によると、PRO-HGは最低保証速度15MB/sとあるので、最低保証速度もメモステPRO-HGのほうが倍以上なのは間違いないようです。
こりゃPSPで使っても爆速? と期待したいところですが、
パッケージ裏面の注意書きにはこう書かれています。
ハンディカム、“サイバーショット”、PSP(PlayStation Portable)などで本メディアをご使用になる場合、高速データ転送に対応しておりません。
なんだってー!
この「PRO-HG」規格は、従来の「PRO」と比べて次の仕様が強化されていて、その結果として高速転送を実現しているのだそうです。(参考:
ソニーのプレスリリース)
・インターフェース: 4bitパラレル→8bitパラレル(従来の2倍)
・クロック周波数: 40MHz→60MHz(従来の1.5倍)
というわけで「PRO-HG」規格に対応している機器なら、転送速度は確かに従来の3倍(理論値)となります。が、
PRO-HG規格に未対応の機器の場合は従来どおりの仕様で転送されるわけで……。
とはいえ、今まで私が使ってきたメモステ、サンディスクの普及版2GBタイプですが、コレが従来規格(PRO)の最高速度に達していたか? と考えれば答えはおそらくノーです。つまり、PSPで使った場合、「PRO-HG」の恩恵は受けられないにしても、従来規格PROの範囲内での高速化は見込めるはず! そうと決まれば早速ベンチマークです。結果は以下。
ソニー メモリースティックPRO-HG Duo HX 8GB (MS-HX8G)
サンディスク メモリースティックPRO Duo 2GB (SDMSPD-2048-J60)
(※PSP-3000をUSBケーブルでPCと接続して計測)
…あ…あれ? シーケンシャルライト以外はすべて、
サンディスクのスタンダード版のほうが速いんですが…?
サンディスク2GBは
以前計測した結果を流用したのですが、今回「PRO-HG」はそのときと同じPC、同じ環境で計測しています。念のため再計測してみましたが、やはり(誤差はありますが)似たような数字に。
そこで、ソニー「HX」を付属のUSBアダプタでPCにつなげて計測してみたのが下の図。
こちらは「リード20MB/s、ライト15MB/s」という公称速度をそれぞれ5MB/s以上も上回る素晴らしい数字です! ランダムライト(4K)でサンディスクの普及版に負けてるのが多少気にくわないですが。
とりあえず、このPRO-HGメモステが壊れていないことは分かりました。PRO-HGメモステは
PRO-HG対応機器で使わないと、その真価を発揮できないのです。
PRO-HGをPSPで使うのは「猫に小判」
というわけで結論。
- PSPは、メモステの「PRO-HG」高速転送規格に対応していません
- なので、PSPではPRO-HGの高速性能を活かせません
- PSPで使うなら、従来規格(メモリースティックPRO)で充分です
- むしろ従来規格のメモステのほうが、PSPでは高速になる場合もあります
- ガッカリだよ……
PRO-HGは(少なくとも今のところは)ソニーの一眼レフデジカメ「α」で使うためのモノ……と考えるのが良さそうです。
PS3やPCで使う場合、本体内蔵スロットよりUSBアダプタ経由のほうがよい?
PSPが「PRO-HG」の高速転送に対応していないことは分かりましたが、
PS3の場合がどうなのかは、どうもよく分かりません。
この「HX」のパッケージには、上述のように「サイバーショットやPSPは高速転送に非対応」という注意書きがあるんですが、その注意された機器の中にPS3は入っていないのです。
しかしネットで検索してみても、PS3が「PRO-HGの高速転送に対応している」と断定できる情報は見つかりません。PS3が「PRO-HGを読み書きできる」という情報は多いのですが、読み書きするだけならPSPだってできるわけでして。
ソニーが「PRO-HGを開発しました」という
プレスリリースを出したのが2006年12月11日なので、そのちょうど1ヶ月前に発売された初期型PS3がPRO-HGの高速転送に対応している可能性は薄そうです。リリースでもPS3には触れられていないですし。
ただし、ややこしいですが、「PS3本体内蔵のスロットがPRO-HGの高速転送に非対応」だったとしても、それが即「PS3はPRO-HGの高速転送に非対応」となるわけではありません。HXに付属してきた
USBアダプタを使えば、PS3でも高速転送が可能になるからです。たぶん。だからPS3は非対応機器には入っていないのではないかと。
そもそも内蔵スロットがあるのは初期型60GBモデルだけで、私の20GBモデルには最初からスロットが内蔵されていません。20GBを買った私はむしろ勝ち組とさえ言えるでしょう。
ちなみに全くの余談ですが、20GBモデルは全PS3シリーズの中で唯一、無線LAN機能が搭載されていません。有線接続しているので普段は困らないのですが、無線必須の
アドパが利用できないのが悲しすぎます。20GBモデルはPS2互換機能があるのは嬉しいですが、昨今、勝ち組ではなく負け組なんじゃないかと思い始めています。
閑話休題。
同じ理屈で、PCの場合も、本体内蔵スロットやお手持ちのUSBカードリーダライタを使うより、付属のUSBアダプタを使ったほうがたぶん速いです。(USBアダプタは出っ張るからイヤだ! という方は、後述のExpressCardアダプタを利用するという手もあります)
USBアダプタ経由で高速転送するときの罠
転送速度は爆速、PS3でも使える(たぶん)という素敵USBアダプタですが、一つ大きな罠があります。
付属のUSBアダプター“MSAC-UAH1”はマジックゲート™に対応していません。
著作権保護技術「マジックゲート」に対応していないと、著作権保護されたデータをコピー/ムーブできないことがあります。メモステのほうはマジックゲートに対応しているのですが、
USBアダプタがマジックゲート非対応。
そして、「PRO-HG高速転送&マジックゲートに対応したUSBアダプタ」というのはどうもこの世にまだ存在しない可能性があります。(ExpressCardタイプなら「MSAC-EX1」というアダプタが発売されています:
ソニースタイル/
アマゾン)
マジックゲートが必要でUSBでしか接続できないときは、PRO-HG高速転送は諦めてPROの転送速度で我慢するしかなさそうです。ちなみに「マジックゲートに対応した、USB接続のメモステPROリーダ/ライタ」が必要な場合、PSPが使えます。
いや、意外といるんですよ。メモステに入ったデータをPCで読もうとして、リーダライタ探している人。PSP持ってるのに。
USBアダプタがマジックゲート非対応というところからも、やっぱりPRO-HGは(とりあえず)デジカメ向け、ということが窺い知れます。私は写真の趣味はないので、そもそも一眼レフどころかコンデジすら持ってないんですよね…(写真を撮りたいときはケータイで)。PRO-HGの真価を活かせる日は(私には)来ない気がします。
▼市場価格調査
ところでこの「“メモリースティックPRO-HG デュオ” HX」8GB(型番MS-HX8G)、お値段は以下のとおり。
○
アマゾン:
6,480円(5,980+送料500)
○上海問屋: 7,698円~(7,299+送料399~)(
Yahoo!/
楽天)
○ソニースタイル: 8,480円(送料無料)
上海問屋は「メモカ激安」という印象があるので比べてみましたが、これに関しては今日のところはアマゾン最強です。ちなみにソニースタイルは「高い」という印象があるので比べてみましたが、そちらは予想を裏切らない結果に。
ところで「PRO-HG」規格は、上述のプレスリリースをご覧になった方はお気付きのとおり
、サンディスクとソニーの共同開発です。というわけでPRO-HG対応メモステはサンディスクからも「
Extreme III」シリーズとして発売されています。
○
アマゾン:
5,780円(送料無料)
ソニーの「HX」のようにUSBアダプタは付いてきませんが、その代わり20MB/sの「HX」と違ってこちらは30MB/s。
安いのに1.5倍も速いというのは、かなり複雑な気分です。
ただ、高速転送に対応したリーダライタを持っていない場合、別に買おうとすると単品売りされているのは上述のExpressCardアダプタしか選択肢がないようなのでご注意を。
価格.comで見たらこれもアマゾンが最安だったので、他店価格はここには載せません。
PSPで使いたいから別に「PRO-HG」じゃなくていいんだけど、という方にはサンディスクの「Ultra II」シリーズ。「PRO」仕様ですが15MB/sを謳っています。PSPで使う場合に速度を求めるなら、これが最もコストパフォーマンスが良さそう。
○
アマゾン:
4,480円(送料無料)
これもアマゾンが最安。
8GBのメモステ(正規品)であれば何でもいい! となると、これまたサンディスクになりますが、その普及版が一番安い模様。上述ベンチマークのように、普及版でもソニーのPRO-HGを上回る数値を叩き出すことがあってあなどれません。
○
アマゾン:
3,600円(送料無料)
○上海問屋:
3,609円~(3,399+送料210~)
これの場合はアマゾンと上海問屋がほぼ同価格でした。
ヴィッセル神戸と楽天イーグルスの勝利を祈願しつつ楽天の上海問屋で買うのが安いかも。
昨年末の価格と比べると、150円ほど値上がりしているのは市場経済の妙と言えます。
結論:PSPで使うならどのメモステを買うべきか
というわけで、PSPで使う分には「PRO-HG」である必要はない…ということが分かってしまいました(買った後に)。速さを求めるにしても、
4,480円のサンディスク「Ultra II」で充分のようです。
どの容量を買うべきか? は難しい問題ですが、たとえばアマゾンの場合、
○SanDisk Ultra II:
2GB=1,980円/
4GB=2,580円/
8GB=4,480円
○SanDisk 普及版:
2GB=1,600円/
4GB=2,280円/
8GB=3,600円
というラインナップなので、容量単価(1GBあたりいくらか)を考えると
明らかに8GBがお買い得です。
16GBはまだソニーからしか出ていませんが、アマゾンの最安値が
8,970円、上海問屋だと9,898円~(9,499円+送料399円~)。お値段的には「Ultra II」8GBと容量単価はほぼ変わらず、と考えてよさそうですが、転送速度がUltra IIと比べてどうかは分かりません。
実は私が買った店は価格設定が特殊で、容量単価だと4GBのほうが8GBよりも安かったんですよ。4GBを2枚買って、さらに千円くらいプラスしないと8GBの値段に届かない。しかも4GBを2つ買えばUSBアダプタも2個。
コストパフォーマンス的には4GBのほうがお得なんですが、でも今4GB買っても寿命は短いよな…と思い、敢えて8GBを買うことにしました。PSPで
ゲームアーカイブス遊ぶにしても、1本で数百MBの容量を使うこともザラです。例えば、
○
バイオハザード2 … 750MB
○
ゼノギアス … 755MB
○
メタルギア ソリッド … 780MB
○
ポポロクロイス物語II … 895MB
確かに考えてみれば、PS1のソフトってCD-ROMでしたから、2枚組・3枚組ともなればギガ行っても不思議はありません。あ、「
双界儀」は1400MBとあります。
そんなわけで、いま2GB使っててカツカツなんですから、4GBを買っても遠からず足りなくなりそう。だったら、8GBのほうが千円高かったとしても、それで買い換え時期が1~2年延ばせるなら、むしろトータルで見れば安く上がる可能性もある……かもしれません。
というような理由で私は8GBがオススメだと思うのですが、アレコレ考えたところで、メモリーカードの値段なんて1年2年もすれば目を覆いたくなるような値下がりをするのが世の常ですから、千円得したとか損したとか考えること自体が不毛なのかもしれません。むかーし買った8MBのCFはいくらしたっけなあ……。容積は何分の1になっておきながら、容量は1,000倍です。でもなんかもったいなくて未だに捨てられません。プリンタ(複合機)のCFスロットに挿しっぱなしになっていて、主にホコリ侵入ガードとして活躍しています。