Pixel 3 をモバイルバッテリーでも急速充電したい
Google Pixel 3 を手持ちのモバイルバッテリーで充電したら、ただの「充電中」表示。「急速充電中」になってくれません。モバイルバッテリーのスペックを見ると「最大出力5V/1.5A」。
このバッテリーでは無理なのか(もっと大きな出力が必要なのか)、それともたとえばケーブルを変えたりすればこのバッテリーのままでも改善するのでしょうか。
モバイルバッテリーで Pixel3 の「急速充電中」表示を出すにはどうしたらいいか、調べてみました。
Pixel 3 を急速充電できる規格は?
いろいろ調べたり試したりした結論を先に書いてしまうと、Pixel3 を「急速充電中」表示にするには、どうも以下のいずれかの規格で充電する必要があるようです。- (最大18W) USB Power Delivery (PD)
- (最大15W) USB Type-C Current
- (最大10W) Google認定ワイヤレス充電器 (Qi) ※持ってないので未確認
有線の場合、充電器/バッテリー側の端子は Type-C 限定です。ポートが Type-A の場合は、どうやっても急速充電はできません。
ワイヤレスの場合、以前は普通の(5Wの)Qi充電器でもなぜか「急速充電中」の表示が出ていましたが、いつの間にか「Wirelessly Charging」に変わっていました。
日本語への翻訳がなんとも中途半端。よっぽど慌てて差し替えないといけない事情でもあったのでしょうか。
まあ確かに5Wで「急速充電中」は盛り過ぎなのですが。(後述しますが有線7.5Wで「急速充電中」にならないのですから)
有線で充電する場合、USBケーブルは両端が Type-C であれば USB 2.0 でも 3.1 でも構いません。
ただし、ケーブルの品質は充電速度に少なからず影響を与えるようです。
Pixel 3 は Quick Charge で急速充電できない
注意点として、Pixel3 は Qualcomm Quick Charge (QC) に対応していません。Qualcomm Snapdragon 搭載にもかかわらず。(参考: Googleが「Quick Charge」などUSB PD以外の急速充電技術排除に向かう理由 (1) そもそもUSB PDとは何? | マイナビニュース)
そのため急速充電対応をうたう充電器やバッテリーでも、QC規格では Pixel3 を急速充電できません。
また、Apple独自の2.1A/2.4A急速充電にも対応していません。
そういう充電器・バッテリーでは低速充電(5V/0.5Aとか)になってしまう…かというとそこまでではなく、大抵は USB Battery Charge (BC) 1.2 規格には対応していて 5V/1.5A (7.5W) での充電なら可能です。
先述の手持ちのモバイルバッテリーをテスターで計測してみました。
これもUSB BCのようです。
Pixel3 側は急速ではないただの「充電中」表示になります。
最大は USB PD 18W
Pixel3 が対応する最大入出力も確認してみました。USB PD対応のACアダプタの実測で 9.33V/1.58A の 16W強。
適当な USB 2.0 Type-C ケーブルを使ったため、もっと高品質なら理論値の 9V/2A (18W) に近づけるのかもしれません。
USB PD対応バッテリーは重い
そんなわけで USB PD 対応のバッテリーを買おう――で話を終わってもいいのですが、ちょっと悩ましい問題があります。現在(2019年5月)市販されているUSB PD対応のバッテリーはどれも10000mAh以上。軽くても180gくらいあります。
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↑「10000mAh PD対応最小最軽量」を標榜する人気の Anker PowerCore 10000 PD で192g。
Pixel3 の内蔵バッテリーは2915mAh。
1回フル充電できれば充分、くらいの使い方をしたい場合に10000mAhクラスはオーバースペックです。
5000mAhクラスのバッテリーなら130g程度。たかが50gほどの差ですが、普段から持ち歩くとなると地味に効いてきます。
5000mAhクラスでは Pixel3 を急速充電できないのでしょうか?
Pixel3 なら USB PD を諦めて Type-C Current もあり
そこで着目したいのが USB Type-C Current という規格。Pixel3 は USB PD 対応といっても高々18Wです。PCみたいに60Wの出力が必要ならともかく、18W程度であれば USB Type-C Current の15W(5V/3A)でも大差ないような気がしてきます。
PD対応で5000mAhクラスのバッテリーは2019年5月時点では見つからなかったのですが、Type-C Current対応ならあるかもしれません。
宣伝文句やスペック表に「Type-C Current対応」と書かれていなくても、Type-C ポートの出力が 5V/3A であればおそらく対応しています。
逆に言うと、下記のモバイルバッテリーはType-C Current対応ではありません。
- ポートがType-C以外(Type-Aポート+Type-C変換ケーブル/アダプタなど)
- Type-Cポートの出力が3A未満(2.4Aなど)
5000mAhクラスでType-Cポートを持つバッテリーというのも存外見当たらなかったのですが、そんな中でやっと出くわしたのがこちら。
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5000mAh、重量127g! すばらしい!
さっそく注文してみました。(実はこの段階では Pixel3 側が Type-C Current に対応しているのか確証がなくギャンブルだったのですが)
結果は……?
4.9V/2.3A の11.4W。
期待していた15Wには届きませんでしたが、7.5W止まりのUSB BCに比べれば5割増しです。
100円ショップ(キャンドゥ)のUSBケーブルじゃなく、高品質なケーブルにすればもっと上を目指せるかもしれません。
Pixel3 側の表示も見事「急速充電中」に。
というわけで無事、Pixel3を急速充電できるモバイルバッテリーを入手できました。
以降、このバッテリーの簡単な紹介と、このバッテリーをお薦めしがたい事情について少し。
スペックは満足なのですが……その、コンプライアンス的にちょっと。
Omars PORTABLE POWER BANK 5000mAh
箱はエヴァンゲリオン初号機っぽいカラーリング。本体サイズは 136.6×60×10.8mm。
Pixel3(145.6×68.2×7.9mm)から縦横1cm弱ずつ小さく、重ねて持ちやすい形状です。
重さは上述したとおり127g。5000mAhクラスではもっと軽い品もありますが、Type-Cポートを持つ商品の中では最軽量の部類かと。
写真左側に見える4つの点は、充電残量確認LEDです。
ポートは3つ。
写真左から、
- IN: Micro-B 5V/2A
- IN/OUT: Type-C 5V/3A
- OUT: Standard-A 5V/2.4A
なお、パッケージにはなぜか Standard-A⇔Micro-B/Type-C 2-in-1ケーブルが同梱されています。せっかくバッテリー側にType-Cポートがあるのに。
このケーブルで Pixel3 を充電しても、もちろん5V/1.5A止まり。
どうせならちゃんと Type-C⇔Type-C ケーブルを同梱するか、コスト的に難しいなら潔くStandard-A⇔Micro-Bケーブルだけにすればいいのに、謎…というか商品の特長を損ねている気がします。
PSEマークがない
さて、この商品の最大の問題点。先ほどの外箱の写真で既に予感していた方もいるかもしれませんが、PSEマークがありません。
2019年2月以降、PSEマークのないモバイルバッテリーの製造・輸入・販売はアウトです。(買ったり使ったりするのは違法にはなりません)
メーカーに問い合わせたところ、以下の回答をもらいました。(要約)
- 該当商品は2018年7月~9月頃に中国工場から日本に向けて発送した
- 2018年10月に経産省がPSEマークについてのお知らせを出した
- 急遽、該当商品のPSE認証を申請し取得した
- 在庫品のごく一部がマークなしのまま残っている場合がある
- 必要があればPSE適合証明書を提供できる
ん~…、そもそも2018年2月~2019年1月の1年間が経過措置期間だったのですから、2018年10月になって急に言われたかのようなフリをされても。
そして認証取得済みならマークなしで売っていいわけでもありません。2019年2月以降は「PSEマークがなければ流通在庫も含め販売禁止」と定められているのですから。
メーカーもメーカーですが、アマゾンジャパンも…「マーケットプレイスだから当社が販売しているわけではない」という立て付けなんでしょうが、ううーん……。
しかし他に同等商品がない
そこで他の同等商品を探してみたのですが…ない……。もうちょっと容量が大きいType-C Current対応製品はあるのですが、だったらもうUSB PD対応の10000mAhでいいじゃん? という程度しか重さが変わらなかったり。
あと1年もすればType-Cも普及して選択肢も増えてくれるかもしれませんが、きょう(2019年5月)のところは「5000mAhで軽いがUSB BCの7.5Wで我慢」か「10000mAhで重いがUSB PDの18Wで急速充電」の2択となってしまいました。残念。
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