玄箱はDebian化していましたが、最近は結局ファイルサーバーとしてしか使っていません。だったら次に買うのはもう普通のNASでいいやと価格.comで探してみたら、値段的にはバッファロー一択状態。もちろん他社からもNASはいろいろ発売されていますが、同価格帯で比べると、バッファローだと他社機より1ランク上の物が買えちゃいます。
バッファロー製の中でもラインナップは豊富で、RAIDとかUSB接続より速いとかSSD&ファンレスで超静音とか特徴的な機種もいろいろありますが、今回はスタンダードなシングルHDDタイプの比較的リーズナブルな機種を選びます。ただしギガビットイーサは必須とします。
それでもいくつか選択肢がありますが、大きくはHDD容量と「DLNA等サーバー機能の有無」が選択ポイントのようです。
以下はアマゾン価格です。価格.comだと送料まで考えればアマゾンが大体最安かそれに近いので。
【500GB】
LS-C500L(DLNAなし) ¥11,650(¥23/GB)
LS-CH500L(DLNAあり) ¥13,545(¥27/GB)
【640GB】
LS-H640GL(DLNAあり/生産完了) ¥14,674(¥23/GB)
【1TB】
LS-C1.0TL(DLNAなし) ¥16,432(¥16/GB)
LS-CH1.0TL(DLNAあり) ¥17,505(¥17/GB)
容量単価を考えると500GBはもったいないような気もします。DLNAは、あればPS3等で使えて楽しそうですが、じゃあ実際に使うかというと微妙。でも1TBモデルのように差が千円強ならあってもいいかも。値段が高いほうがハードウェア性能も良いかもしれないし。しかし写真を見る限りでは同じ筐体っぽいので、違いはソフトウェアだけかも…?
などと思いを巡らせていた矢先、ドスパラのオンラインショップでふと遭遇したのが「Seagate STM31004SSA20G-RK」という機種。
書かれていたスペックは、なんと以下3行だけ。
◇インターフェース(LAN):10/100/1000 Gigabit Ethernet Lan Connection
◇対応ドライブ:搭載:Maxtor Shared Storage 1TB 32MB cache
◇容量:1TB
情報が少なすぎで、ものすごい博打感が漂います。しかし「ギガビットイーサ+1TB」で13,980円(送料入れて14,768円)は魅力。
数少ないスペック情報と写真を元に世界を探してみると、見つかりました。
Maxtor Shared Storage™ II 1TB Single Drive
日本語の公式サイトが見つからなかったので、おそらく日本では公式には流通していない輸入品扱いなのでしょう。
英語サイトによると「UPnP AV / Designed to DLNA guidelines」とあるので、何とDLNA対応です。
しかもUSBポートが2個ついていて、プリンタ共有や外部ストレージの接続が可能とあります。
あとは自動バックアップだの何だのという便利機能もあるようですが、そういうクライアント(PC)側にいろいろソフトを入れなきゃいけない系の機能は、たぶん使わない気がします。
というわけでスペックはけっこう良さそう。買ってみました。
結論から言うと、コストパフォーマンスはいいです。
まずは外箱と中身。
つづいて本体の背中。左からLANポート(gigabit)、USB×2、ACアダプタ、電源スイッチ。
細かい点を補足すると、LANポートの左にある小さな穴はリセットスイッチ、その上の四角い穴(ラベル左隣)はセキュリティ(ケンジントン)ロック用の穴です。
日本で使って大丈夫?
ACアダプタは100-240Vでした。日本の家庭用電源でも普通に使えます。無線機能は持っていないので、「海外製品を日本国内で使うと電波法違反になるのでは?」という心配も不要です。
アフターサポートは?
私が買ったドスパラでは、販売店で6ヶ月の無償保証をしてくれるそうです。(他店がどうかは知りません)いちおうメーカー(Seagate)の保証は1年となっていますが、それは本国の話で、シーゲイト日本法人がサポートしてくれるかは微妙です。6ヶ月が過ぎたら、無償どころか有償での修理にも苦労しそう。
もっともHDDは消耗品ですし値下がりも激しいので、2~3年後ともなれば有償で修理するよりは新しく買ったほうが良いかもしれません。7ヶ月で壊れたら……安物買いの何とやら、バクチに負けたと諦めるのが一番でしょうか。
日本語は使える?
日本語のファイルが正しく扱えなかったらどうしよう、というのが使う前の最大の懸念点でした。Windows XPからしか確認していませんが、ファイルサーバーとして保存するファイル/フォルダ名には日本語は不自由なく使えます。
ご覧のとおり、Unicodeレベルでちゃんと対応してるようで、かつて「機種依存文字」と呼ばれていた半角カタカナや丸数字、「はしご高」や「草なぎ」の「なぎ」を使っても大丈夫でした。Unicodeに変換するときに化けやすい全角チルダ「~」も意図通りに表示されているようです。
Macは持っていないので、相互利用性については分かりません。
ただし、設定画面のUIで日本語は選べません。日本語のマニュアルもありません。
「NASとは何か」を知っている人なら、英語に自信がなくても、設定画面やマニュアルに書いてあることは大体想像がつくと思うので何とかなるかと。
NASに詳しくなく、かつ外国語アレルギーという方は、さすがに国内メーカーの機種を買うべきです。
スペック情報の対応機種にはWin2000/XP/Mediacenter/MacOSXとしかないけど?
Vista用のCD-ROMも入っていました。Windows 7や64bit版の対応状況は分かりません。もっとも、設定画面はWebインターフェースです。ファイルサーバーとしての機能は、CD-ROMに収録されているソフトを使わなくても(インストールしなくても)利用でき、常駐ソフトを減らしたい人も安心です。
ただし、「自動ワンタッチバックアップ」などの機能を使うには、同梱ソフトを使うことになります。
もっともそれをインストールせず、他の好きなバックアップソフトを使ってもおそらく問題はないかと。
Linuxからも使える?
同梱ソフトはLinuxでは使えませんが、普通に mount.cifs でアクセス可能です。# mount -t cifs //192.168.0.xxx/Public /mnt/public -o username=xxx,password=xxx,iocharset=utf8
【同梱ソフトを使わずにどうやって初期設定するのか気になる人へ】
Web管理画面で設定したいが、その管理画面を表示するのに必要な「NASのIPアドレス」はどうやって知るのか? という点がLinuxしかない人は気になるかもしれません。
CD-ROMに収録された専用クライアントソフトを使えば、LAN上にあるNASを見つけてIPアドレスを教えてくれますが、専用ソフトを使わなくても何とかなります。工場出荷時設定では、DHCPでIPアドレスを取得するからです。
DHCPサーバー(ルーターであることが多い)のログを見ればどんなIPアドレスが振り出されたかは見当がつきますし、ログを見なくても、192.168.0.3、~.4、~.5 と順番にブラウザのアドレス入力欄に打ち込んでいけば(LANを192.168.0.*で構成している場合)、遠からずNASの設定画面が表示されることでしょう。
設定画面に入れたら、固定IPに変更しておくとその後ラクです。
なお、カーネルのバージョン等にもよるでしょうが、私の環境ではマウントしただけではパーミッションやタイムスタンプがうまく設定されないことがありました。/var/log/messages に「nounixオプションを付けてマウントするといいかも」とメッセージが出ていて、それに従ったら解決しました。
パワーマネジメント機能はある?
「一定時間アクセスがなければスリープする」機能があります。「15分/30分/1時間/2時間/なし」の5段階から選べます。「なし」があるということは24時間稼働させていても大丈夫なHDDなのかもしれませんが、使わないときはスリープさせることでHDDの寿命を延ばせるかもしれません。デフォルトは確か「1時間」。
スリープ中も放熱ファンは回っているようで残念。
(もしかしたら止め方があるのかもしれませんが、今のところ不明)
静音性は?
ファンの音は「うるさい」というほどではないですが、寝室に置くには気になるかも。ファンを止められればいいんですが。Jumbo Frameは?
ジャンボフレーム対応なのでギガビットLANのポテンシャルを引き出せます。フレームサイズは「4K/8K」から選べます。DLNAサーバーはPS3から使える?
大丈夫でした。下の写真、赤枠のようにPS3から認識されています。iTunesサーバーになる機能も持っているみたいです。
速度は?
いまギガビットLAN環境がなく、中途半端なベンチマークしかできないので実測値は掲載しないことにします。インターネットからのWebアクセス機能は?
外出先などインターネットからWeb経由でアクセス(ファイルの閲覧/ダウンロード/アップロード)することも可能です。ただし、「Maxtor Shared Storage II を Maxtor Central Axis に変換するファームウェア」の適用が必要です。ファームウェアは公式に無料で配布されています。
「Maxtor Central Axis」がそもそも何なのかがよく分からず、コンバートすることで他に何ができるようになるのか、逆に失われるものがあるのかないのか、詳細がさっぱり不明なあたりはお国柄ですが、どうやら元々は別製品のようです。
元々の「Shared Storage II」のファームウェアのバージョンが「v3.1.28」、「Central Axis」のバージョンが「v3.5.74」と微妙に近いところを見ると、後継製品なのかもしれません。
なお、Webアクセス機能を利用するには同梱の専用ソフトでの設定が必要でした。(つまり、WindowsかMac環境がないと設定ができません)
具体的には、インターネットからNASにアクセスするには、メーカーが提供するSeagate Global Accessというサイトにログインする必要があるのですが、「このログインアカウントと実際のNASとの紐付け」をWeb管理画面から行う方法が見つかりませんでした。
ただし、いちど紐付けしてしまえば、その後は専用ソフトを使わずともWebアクセス機能は利用できます。
Seagate Global Accessサービスは無料。日本時間で毎週水曜の12~13時(サマータイム時は11~12時)はメンテナンスで利用できません。
4GB超ファイルは置ける?
4GB制限のあるFAT32のNASなんて滅多にないでしょうが、一応確認。問題ありません。$ dd if=/dev/zero of=over4GB bs=1G count=4
ftp/telnet/sshログインできる?
できません。まとめ
値段の割にはなかなか高機能で満足しています。スリープ時にファンが止まらないのが今のところ唯一の難点。こんどUSB関連を試してみようかと思います。
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