ネットワークには無線LANでつなぐわけですが、リモート起動(Wake on Lan/WOL)も無線LAN経由でできるものなのでしょうか?
有線LANでのWOLならそう難しい話ではありませんが、無線LANとなると一筋縄ではいかないようで……。
結論:イーサネットコンバーターならたやすい
結論から言うと、無線LANアダプタでのWOLは断念しました。ただ、イーサネットコンバーターを使えば、無線LAN経由でも普通にWOLできます。マシンからは「有線LANでつながっている」ようにしか見えないのですから、当たり前なんですが……。
イーサネットコンバーターとは?
イーサネットコンバーターは、有線LANでしかネットにつなげない機器(家電とか)を無線LANでつなぐための機械です。
「有線LANでしかつなげない機器」と言っても、PCなどは「USB無線LANアダプタ」を使えば無線も利用することができます。ところがTVなどのデジタル家電は、ほとんどの場合、USB無線LANアダプタには対応していません。そんなとき、コンバーターを使えば、下図のように無線LANでつなぐことができるのです。
[インターネット] ―(有線)― [無線ルーター] ……(無線)…… [イーサネットコンバーター] ―(有線)― [デジタル家電]
なお、イーサネットコンバーター経由でWOLしようという場合、コンバーターは24時間起動しておく必要があります。
「普段はマシンの電源を落としておいて必要なときだけWOLで起こそうと考えているのに、コンバーターを24時間起動しっぱなしというのもなー」と微妙な気持ちになりますが、昨今のコンバーターなら消費電力は数W程度。マシンを起動しておくよりはずっと省エネだし、と割り切ってしまうのが良さそうです。
USB無線LANアダプタでのWOLは無理そう
当初は、イーサネットコンバーターを使わずに、Linux機に接続したUSB無線LANアダプタからのWOLを考えていました。しかし、調べてみるとどうも難しそう。考えてみれば、USB無線LANアダプタというのは通信に必要な様々な処理をマシン側のCPUに任せています。CPUが寝てる間、USB無線LANアダプタだけで何か仕事をするというのは、確かに荷が重そうです。
ただ、無線LANアダプタがPCIでマシンに接続されているのなら、WOLできる可能性はあります。「WoWLAN」で検索してみてください。
おまけ:有線LANポートをWOL専用にして、通常通信を禁止する
今回、イーサネットコンバーターはウチに転がっていた802.11g(54Mbps)の物を引っ張り出してきて使うことにしました。いっぽう、マシンにあらかじめ挿してあったUSB無線LANアダプタは802.11n(300Mbps)。WOLは11gの遅いほうを使いますが、起動後は11nの速いほうで通信したいところです。
ところがマシンから見ると、イーサネットコンバーターは有線LANにしか見えません。Linuxとしても、まさか有線LANが無線より遅いとは思わないのでしょう、ついつい有線のほうで通信しようとしてしまいます。
仕方がないので、Linuxが有線LANを使わないように設定してしまいましょう。WOLはOSが起動する前に行なわれる処理ですので、Linux上で有線LANを無効にしてしまっても、WOLには影響ありません(※)。
Debianの場合は、/etc/network/interfaces がネットワークの設定ファイルです。
有線LANは eth0 ですので、ぜんぶコメントアウトしてしまいます。DHCPで使ってる場合は、次の2行でしょうか。
#allow-hotplug eth0 #iface eth0 inet dhcp
これで再起動すれば(再起動が面倒なら ifdown eth0)、Linuxからは有線LANは使われなくなっているはずです。
念のため、ifconfig で eth0 がいないことを確認しておきましょう。
(※)ただし、毎終了時にethtoolコマンドでWOLを有効にしないといけない環境の場合は、eth0 を無効にしたらマズいかも。
イーサネットコンバーターをどう使うか
なお、イーサネットコンバーターはWOL専用と割り切るなら、11g(54Mbps)の速度は必要ないので、11b(11Mbps)に絞っておいてもいいかもしれません。多少は省電力になるでしょう。そもそもの問題として「無線LAN機器を2つ接続するって…」とお思いの方は、USBアダプタはやめて、11nのコンバーターに一本化するという手も。
アマゾンだと、150Mbpsでよければ PLANEX FFP-PKC01 が\1,780、300Mbpsでも PLANEX FFP-PKR01 が\3,023 です。