月曜日

「WPA解読で360やPSPが危険に」というGIGAZINEの記事に思う、「WPA=TKIP、WPA2=AES」という誤解

先週金曜、GIGAZINEに「無線LANのセキュリティに危機?「WEP」に続いて「WPA」までも一部解読」という記事が出ていました。
曰く、WEPに続きTKIPも一部が解読されたと。Xbox 360やPSPといった「クレジットカード決済を利用可能でWPA2に非対応な機器」でのセキュリティ上の問題が懸念されているそうで。
――あれ? 「TKIPが破られた」んだったら、WPA(WPA1)の暗号化方式を(TKIPを使うのをやめて)AESにすればいいだけの話じゃない? 別にWPA2非対応機器でも問題ないのでは?(と思ってたら翌日、GIGAZINEの記事もちゃんとそう修正されていました)

こういう誤報が出てくる背景には、「よくある誤解」が関係していると考えられます。すなわち、無線LANのセキュリティというと、
1. WEP
2. TKIP=WPA
3. AES=WPA2
の3通りがあって、「WEPもTKIPも破られた→じゃあWPA2だ」――という勘違いです。

そう思って調べてみると、一見まともそうな解説記事でも、けっこう「WPA=TKIP」「WPA2=AES」と間違って説明していることが多いのに気付きました。

WPA2では、AES(Advanced Encryption Standard)アルゴリズムをベースにしたCCMP(Counter Mode with Cipher Block Chaining Message Authentication Code Protocol)が認証とデータ暗号化に利用される。TKIPではWEPの場合と比べて無線トラフィックが非常に傍受されにくくなっているが、CCMP はRC4とTKIPの組み合わせよりも安全だ。ただし、CCMPはRC4より多くのプロセッササイクルを必要とするため、WPA2にアップグレードするには、APやクライアントをより性能のいいものに交換しなければならないかもしれない。
無線セキュリティ──WPAとWPA2の仕組み (TechTarget)
つまるところ、WPAとWPA2の違いは
・暗号化方式がRC4かAESか
・改竄検出がICVかMICか
ということで、TKIPやIEEE 802.1X/PSKに関しては共通となっています。
槻ノ木隆の「BBっとWORDS」その51「WPA2の仕組み」(インプレスBB Watch)

ニンテンドーDSiが対応する無線LANのセキュリティの種類
実際には、WPAでもWPA2でもそれぞれ、TKIPとAESの両方を選ぶことができます。例えばWPA2にも対応している「ニンテンドーDSi」のネットワーク設定画面では、ちゃんと
WPA (TKIP)
WPA (AES)
WPA2 (TKIP)
WPA2 (AES)
が選べるようになっています。(写真はBB WatchのDSiレポート記事より)

もうちょっと調べてみたら、Ciscoのサイトでそのへんのことがバッチリ解説されていました。
Q. What is WPA? How is WPA 2 different from WPA?
A. (略) Both WPA1 and WPA2 can use either TKIP or CCMP encryption. (It is true that some access points and some clients restrict the combinations, but there are four possible combinations). The difference between WPA1 and WPA2 is in the information elements that get put into the beacons, association frames, and 4-way handshake frames. (WPA1とWPA2の違いが具体的に説明されてるけど略)
Thus WPA1 plus AES is not WPA2. WPA1 allows for (but often is client side limited) either the TKIP or AES cipher.
※意訳:このように、WPA1プラスAESがWPA2となるわけではありません。WPA1はTKIPとAESの両方を使えます(クライアント側で制限されてることが多いけど)。

FAQ on Cisco Aironet Wireless Security

というわけで、「WPA=TKIP」「WPA2=AES」しか使えない無線APや端末があるというのが、こういう誤解を助長したのかもしれません。

ともかく、「WPA破られる」という話は(今回に関しては)実際には「TKIP破られる」に過ぎません。解決策としては「TKIPやめてAESにしましょう」でほぼ済んでしまうことが分かり、一安心。

「ほぼ」済む、と歯切れ悪く書いた理由は、古い無線LAN機器だと「AESには非対応でTKIPしか使えない」とか「AESも対応してなくはないけど、通信の速度がやたら遅かったり不安定になったり」という話も聞くからです。
そんな場合は、もう年貢の納め時と諦めて買い換えるのが吉かと。古い機械ということは、通信速度(理論値最大)54Mbpsの11g(または11Mbpsの11b)でしょうから、最近の300Mbpsの11nに買い換えると「無線LANってこんなに快適だったのか!」と目からウロコ間違いなしです。

と言いつつウチはまだ54Mbpsで、しかもWEPも現役だったりする(DSのため)のですが……。

2 件のコメント:

  1. 私が最近買った、ロジテックの無線LANルータ LAN-W300N/RSB は2012年6月発売のかなり新しい機種ですが、WEP、WPA-PSK(TKIP)、WPA2-PSK(AES)しか使用できません。ロジテックに確認したところ、「Wi-Fiアライアンス上では、WPA-PSKでのAESはあくまで拡張仕様であり、本製品では今後も対応する予定はありません」と言い切られました。

    しかし私はPSPも使いますし、PSP上でクレカ決済を行って追加モジュールを購入したりするので毎回サバイバルです。PCはもちろんWPA2-PSK(AES)で接続してますけどね。

    一応MACアドレスで私の端末以外は認証できないようにフィルタリングしているのですが、このような場合にもやはりクレカ番号をすっぽぬかれたりという危険はあるのでしょうか。

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    1. コメントありがとうございます。
      なるほどそういうメーカーもあるのですね。

      MACアドレスのフィルタリングは、それなりの技術を持った人であれば容易に突破できてしまいます。「やらないよりはマシ」という程度でしょうか。

      とはいえ、サーバーとの通信経路にSSLが使われていれば、通信経路は暗号化されます。SSLは当分破られることはなさそうですから、TKIPであってもそう心配はいらないと思います。
      (SSLのないサイトでカード番号や個人情報を入力するのは、PSPだけでなく、WPA2を使えるPCであっても危険です)

      また、PlayStation Storeなどではカード番号をサーバー側に保存してしまえば、カード番号が通信経路を通らなくなるので「盗み見」されるおそれもなくなります。
      (ただ、サーバーに侵入されてカード番号が盗まれるという事件もあったので、どちらを選ぶかは難しいところですが……)

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